
降る雨に名簿見ている夏至の夜
ときどき、あの分厚い同窓会名簿を見る。半分は仕事、半分は楽しみ。雨の降る夜にふさわしい。
2009/06/22
裏の戸を叩く者あり蛍の夜
電気を消して、庭の蛍を見ている。突然、裏口の戸を叩く人。開けてあるのに何度も叩く。
2009/06/23
夏の窓故郷の風入れにけり
クーラーを止め窓を開ける。意外に風がさわやかだ。故郷の風はいつも家の中を通り抜けていた。
2009/06/25
ばんどりを編む手にとまれ姫蛍
祝いばんどりは、どうしてこんなにきれいなのか。夜なべをしながら一刺し一刺し心をこめて編んだから。
2009/06/25
騒ぐものあり今様の祭笛
祭りの笛は、昔は単調で退屈なものでしかなかったが、今の若者の手にかかると、なぜか心が騒ぐ。
2009/06/26
夏狂言蟹山伏の指はちょき
黒川能を生で観たのは四十数年ぶり、高校の時以来。この蟹の指のなんと無邪気で自然なことか。
2009/06/28
夏休み吾が青春を帰りたり
高校時代にいつも歩いた道。久しぶりの帰省でのぞいてみると、いまだに健在。そろそろと歩いてみる。
2009/06/30
あの夏に何やら疼く隅と底
なにやら懐かしいこの花は、ヒメオウギズイセン。心の隅や底に引っ掛かっていた何かが疼きます。
2009/07/09
みそ萩や大物潜む曲がり角
オオナマズを取り逃がしたのは、あの、ミソハギが咲いている曲がり角。昔のままで昔のままではない。
2009/08/04
夏雲や池塘は夢の弥陀ヶ原
月山の山開きの日の弥陀ヶ原。まだ、ところどころに雪が残っている。それでも池塘の周りには花が…
2008/07/07
ふるさとは昭和そのままかき氷
四十数年ぶりに、東京でも話題の加茂水族館に行ってみた。この素朴な感じ、何も変わっていない。
2008/08/01
たをやかに海月の時は流れけり
人間の時間は、クラゲの時間の何十倍もの速さで過ぎていくようだ。竜宮城の時間、浦島太郎の世界。
2008/07/30
ふるさとを巡りてしばし夏岬
加茂の灯台も変わっていないように見える。ここは島だったような気がするのだが、忘れてしまった。
2008/07/31
花菖蒲語りて足りぬ山河あり
東京での高校の同窓会は、毎年、ちょうど花菖蒲の咲くころ。正午から始って、延々夜中まで。
2009/06/30