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クズ(葛) マメ科|クズ属

クズ
撮影日:2011年9月12日|場所:東京都葛西臨海公園

8月終わりから9月にかけて、一番生命力旺盛な植物と言えば、このクズではないでしょうか。
荒れ地と言わず植栽、樹木と言わず、その蔓をどんどん伸ばして根を張り、木に登り繁殖していきます。
駆除するのはほとんど不可能に近く、新しい木の枝に巻きついて捻じ曲げてしまうなど、木の成長を妨げる有害植物として嫌われています。
そんな厄介な雑草ですが、花は意外にかわいい、フジやハギなどに似た、マメ科特有の花を付け、秋の七草のひとつに数えられています。
また、クズの根から取れるデンプンは、葛粉(くずこ)として、葛切りや葛餅に使われたり、中華料理などには欠かせない材料になっています。
その他、葛根湯などの漢方薬や葛布(くずふ)と呼ばれる布、馬や牛などの飼料などとして、昔から利用されてきました。
厄介な雑草どころか、非常に有用な植物だったのですね。


<2011年9月13日>
東京の葛西臨海公園公園でも、鳥類観察エリアの水辺や植栽にからみついて、緑地一面、クズに覆われつぃまったのではないかと思われるほど、クズが繁殖していました。

クズ ▲大きな植栽を駆け上って、木の頂上で花を咲かせるクズ。   クズ ▲松の木や植栽を覆ってしまったクズ。

 
クズ・メモ
■クズの特徴
クズ
まず目立つのは、葉の大きさと蔓の長さです。
葉は、3出複葉、小葉は子供の手を広げたほどの大きさで、蔓からびっしりと生えています。
葉から大量の水分が蒸発していくのを防ぐために、夏の暑いときには、葉をたたみこんで裏の白い部分を太陽に向け、直射日光を防いでいるそうです。
蔓は、盛夏には一日1メートルも伸びると言われ、年がたつと太くなり木質化していきます。
根は長芋の様な形で、大量のでんぷんを貯蔵しています。
花は、8〜9月頃に咲きます。葉の影になっていることが多く、あまり目立ちませんが、穂状花序が立ち上げ、赤紫のフジの花のような複雑な形の花をたくさんつけます。
花は下から上に向かって咲いていきます。 実は、実が膨らむ前の枝豆の様な形で、長い毛が密生しています。
クズ ▲長い蔓と大きな葉で、木をすっぽりと覆ってしまうクズの葉。